世界全体のCO2排出量/温室効果ガス
2021年1月14日 アップロード
2024年7月5日 最終更新
どのデータが欲しいのか?
世界全体のCO2/温室効果ガス(GHG)排出量統計にはいくつかのデータ・ソースがあります。
以前は、CO2だけが欲しいのか、GHG全部について欲しいのか、どれくらい古いデータから欲しいのかによって、頼るべきソースが変わったのですが、現在は、おそらく一番使い勝手がよいのはIEAのデータとなりましたので、IEAのデータから作成したグラフを中心にご紹介し、補足的に他のデータもご紹介致します。
世界全体の“CO2”排出量の推移
最初にご紹介するのは、国際エネルギー機関(IEA; International Energy Agency)のGreenhouse Gas Emissions from Energy Highlightsから作成したグラフです。
Rのスクリプトもこちらに載せてあります。元データからこのスクリプトで使うためにCSVを作っており、それもこちらに載せています。
第2にご紹介するのは、Global Carbon Projectがやはり毎年公開しているデータです。
Rのスクリプトもこちらに載せてあります。元データからこのスクリプトで使うためにCSVを作っており、それもこちらに載せています。
ちなみに、下のグラフではオリジナルに沿って単位を炭素換算としてあります。上のIEAデータはCO2換算なので、数字が大きく違うように見えるのはそのためです。炭素換算のデータをCO2に換算するには、12で割って44でかけてあげる必要があります。
GCPは、その名の通り、世界全体のCO2の排出量・吸収量のバランスを整理することを目的としたプロジェクトで、とりまとめているのは単純なCO2排出量だけではありません。同プロジェクトのウェブサイトでは、内容をまとめたプレゼンや、ベースになっている論文等も公開されていますので、勉強になります。
余談になりますが、20世紀以前も含めたCO2排出量データといえば、以前は米オークリッジ研究所内のCDIAC (Carbon Dioxide Information Analysis Center) のデータが定番でした。しかし、諸事情によってCDIAC自体が2017年9月に閉鎖されてしまったため、CDIACをベースとした排出量公開はそこで終わってしまっています。
世界全体の“温室効果ガス(GHG)”排出量の推移
GHG排出量についても、IEAのデータが使いやすいです。以下は、上記のCO2排出量と同じく、IEAのGreenhouse Gas Emissions from Energy Highlights 2023 Editionを使用して作成したグラフです。
次に紹介するデータとの違いで言えば、このIEAのデータは、あくまでエネルギー起源のGHG排出量に着目したデータであり、たとえば、農地から出てくるメタンであったり、エネルギー用途ではない代替フロンからの排出量は含んでいません。Highlights のデータには、CO2およびCH4の漏出(fugitive)排出量データも、別項目として記載がありますが、代替フロンガスなどのデータは含んでいません。このため、各国がUNFCCC事務局に提出しているGHGのインベントリなどと必ずしも一致しません。
次にご紹介するのは、WRIなどの研究機関が合同でプロジェクトとして運営しているClimate Watchというデータベースです。Climate Watchは、気候変動対策に必要なデータを整理するプロジェクトで、排出量データ以外にも便利な情報が盛りだくさんです。
Rのスクリプトもこちらに載せてあります。元データからこのスクリプトで使うためにCSVを作っており(ほぼそのままですが)、それもこちらに載せています。
ここでいう温室効果ガスとは、CO2に加えて、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)や、代替フロン等のFガスを含みます。上述のIEAのデータとの違いは、こちらのGHG排出量には、代替フロンやN2Oなどの温室効果ガスの排出量も含まれます。
温室効果ガスの排出量データは、CO2よりも集めるのが難しく、各国が国連に提出しているデータで遡れるものは比較的最近(1990年以降)しかないのと、「最新」データが出てくるのが、CO2単体よりもちょっと遅くなるのが特徴です。
最後にご紹介するのは、ドイツのPIKの研究者たちが提供しているPRIMAPというGHG排出量のデータです。こちらは、複数のデータを組み合わせて作られたデータで、1850年というかなり古い時代からのGHG排出量の推計データです。
ここのデータはFTPを使用してダウンロードできる形になっており、一番最初にご紹介したIEAのものなどと比較的すると、そもそも対象を研究者に絞っている感じが窺えます。
元のデータに付随してくる説明書をお読み頂ければわかりますが、このデータからは、同じ「世界の排出量の推移」でもいくつか作りえるパターンが存在し、データにコードが振られています。今回作成グラフは、「各国別のデータが存在する場合は、第三者機関によるデータよりもそちらを優先(HISTCR)」した、「世界全体の排出量(EARTH)」で、「森林等の吸収・排出を除く合計(IPCM0EL)」を示し、「IPCC第4次評価報告書の排出係数を使用して換算したもの(KYOTOGHGAR4)」を使っています。
Rのスクリプトもこちらに載せてあります。元データからこのスクリプトで使うためにCSVを作っており(上記コードで必要部分だけ抜いています)、それもこちらに載せています。